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企画概要

早稲田大学演劇映像学連携研究拠点の公募研究「無声映画の上演形態、特に伴奏音楽に関する資料研究」(研究代表者:長木誠司)の成果報告を行う。第1部ではまず、無声映画楽譜資料「ヒラノ・コレクション」(※)の調査結果に基づいて研究分担者が研究発表を行う。第2部では、他の資料館の収蔵資料との関連や、現代の無声映画のピアノ伴奏などの観点から、こうした現存する歴史的資料の活用のあり方を検討する。最後に第3部の参考上映では、新たにパテベビー完全版が発見された『(実録)忠臣蔵』上映し、この際「ヒラノ・コレクション」に含まれる楽譜(この映画のために楽士・平野行一が作成した選曲譜)に基づく伴奏をおこない、資料の活用法を探る。

 

(※)「ヒラノ・コレクション」

昨年、早稲田大学演劇博物館に1920年代のサイレント期の映画伴奏譜が600点以上も収蔵された。これは実際に日本の映画館で使用されていた楽譜資料としては、初めて研究者の前に公にされた資料といえる。ここには出版譜から手稿譜までさまざまな形態の楽譜が収められているが、これまでの調査の結果、これらは品川娯楽館を始めとする日活系の映画館で活動した平野行一という楽士が使用していた資料であるとことがおよそ明らかになった。欧米の伴奏譜資料とはさまざまな点で差異をもつが、あらためて歴史的考証を踏まえた無声映画上映のあり方を再考する機会と提供する資料でもある。

 

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